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恋をするには煩悩が多すぎる

ジャニオタ道に足の先を踏み入れたくらい、今。

トップアイドルの執念ーアウトサイダーアートとしての大野作品(FREESTYLE上海感想)

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※この記事は2015年7月22日に書いたものです。2015/7/27のNEWS ZEROをうけて心置きなく公開させていただきます!


私はいまこれを上海外灘美術館で書いている。正直とても居心地がよい。
それはわたしが現代アート好きで、世界中のいやおもに欧米の美術館やギャラリーに行っていて、この美術館もまた、それらと同じ常識に則って維持管理されているからだ。

東京在住の私は、上海には大野智の展示を見にきた。思わず、見にきた。嵐ファンになって半年、大野さんの作品を直接見る機会なんてなかったし、この先もそうそうないだろうとおもったから来た。

現代アートが長らく好きだ。もう15年くらい。もちろん素人のアート好きだから、細かいことは追えてないけど、中でも社会学や哲学のフレームワークを使って脳のフレームをいじくられる現代アートが好きなんだ。
では、大野智の作品は、自分のなかでどう評価付けだらいいんだろう?ざっと作品の写真を見た感じでは、好きなジャンルでもないし、そんなに心に”くる”ものはなかった。作品とは、図版ではよく分からないものである。大好きなアイドルに対して、その場で結論を下したくなかった。ま、直接みたら結論がでるかな、と思っていた。で、見にきた。

感想:
気持ち悪い

あ、怒らないで!ごめんなさい!
なんでそう、感じたのかはここから書くから!マイナスの感情じゃないから!むしろ、ほめてるから!*1

大野さんの作品からは、意図するところ、伝えたいことがまったく見えてこない。実際に本物を見てそう思ったのだ。合計二時間弱じっくり見たけどやっぱりわかんなかった。

ただただ見えるのは、作りたくて作るしかなくてひたすらに作ったんだろうなということ。
タイトルはおろか、素材表記さえもない展示。基本的に暗い展示室内。なんで黒人の顔がモチーフなのか?なんでグラフィティの中に光輝く自身のフォルムが書き入れられているのか?
黒人の顔のフィギュアを、ライブ会場において撮影した写真の作品だけが外界との繋がりを感じた。自身のバックグラウンドであるアイドルという外界との。

異論はあろうとも、私は基本的に現代アートとは、批評と表裏一体となったものであると考えている。言説に連なり、歴史に所属しない限り価値は生まれたことにならない。
つまり、少なくとも私が好きな”現代アート”は基本的に見る者に解釈を要求する。いわばすべてがかまってちゃんなのだ。

大野さんの作品にはそれがない。みえるのはただただ本人の執念のみ。それはときに見るものとのお約束ーーパースや色使いのデザイン的ルールやそこに起因する気持ちよさーを完全に無視する。

これらの要素が私が大野智の作品を気持ち悪いと思った所以である。
この手のアート、取り扱えないものさえ文脈にいれようとしちゃう傲慢なアートの言葉を使えば、アウトサイダーアート、というジャンルになる。
生涯をかけてひとりでどでかい宮殿を作ったフランスの郵便配達夫、フェルディナン・シュヴァル。ただただ自分の時間を空想にあてたヘンリー・ダーガーなど。
この上海個展で展示された彼の作品は、これらにつらなる「執念の作品」のように見えた。実際、どこにも本人からの「アート」という言葉もない。*2


会場には現代アーティスト、草間彌生のコメントが日本語、英語、中国語で展示してあった。
展示のガイダンスとしてとても秀逸な文章だった。あまりによかったので全文書き写してきたのだが、一部ここに引用する。

おーちゃん、これからもうんとがんばってね。
類まれなあなたの精神力をもって
世界に平和を人類の愛をもっともっと
ぶちあげてちょうだいね。

「類まれなあなたの精神力をもって」これだ。これ。思わず作り続けること。人に見せたあとでもまだ作り続けること。"アウトサイダーアート"である彼の作品は続けることだけでしかアートになれない。いや、そんなことは誰も求めていないのだろうけど。でもつまり、続けることが彼の外の世界に対しては意味が生まれないとも言える。
この草間彌生氏の評は2015年春のものである。今回の上海で展示されている作品は2007年までの初期作品。そして2015年7月22日現在、東京ではその後の8年で作り貯めた最新作の展示が行われている。
この8年は、彼の仕事が大きく広がり、日本を代表するアイドルグループへと成長したのとタイミングを同じくする。この間にも発表できるほどの作品を作り貯めてきたことこそが彼のアーティスト性を表している。

すごい、大野さん。よくわかんないけど尊敬する、その連綿と続く執念なのか、天才性なのかもうよく分からないけれど創作意欲に。


ちなみに、今回の展示会場で感じた違和感。最大の違和感にして上海外灘美術館で居心地よく感じる理由。それは作品を見学する前にパンフレットを買うかどうかの選択を迫られたことです(苦笑)
もう1回当日券で入場しちゃったじゃないか。いや、いろいろ考慮すればそうしたほうがいいのもわかります、わかりますが!違・和・感(笑)


ちなみに新作の写真をみる限り、前述の「周囲を無視したいびつさ」は薄くなっているように見受けられる。これには彼の本業の市場性がつよく影響しているのではないだろうか。*3そこで考えるのは人材育成機関としてのジャニーズ事務所のシステムである。と話がぴょーんと飛んだところで、ここは小説を4冊上梓するにいたったNEWSの加藤シゲアキさんを通じて別項で語りたい。*4

 

 

SATOSHI OHNO EXHIBITION
FREESTYLE IN SHANGHAI
 2015

大野智作品展「楽在其中」
2015.7.9-2015.7.29
上海馳翰美術館

 

 

*1:2015/7/27のNEWS ZEROの個展密着でご自身の口から「気持ち悪い」という評価が出たので心置きなくこの感想を公開します・・・

*2:大野さんの立体作品を見てると大竹伸朗を思い出した…ちなみに私は草間彌生展で吐きそうになって足早に展示室を通り抜けたことが数度ある

*3:しかし人気すぎてチケットとれなかったので実際に検証しにいけないのがかなり歯がゆい

*4:大野さんの場合、既存アートの評価を一切欲しがっていなさそうに見える。が、NEWSの加藤さんは賞がほしそうなのでまたここに違いが出てきているのが面白い