さようならジャニーズ創世記、こんにちはジャニーズ新世紀2019

2018年はほぼ毎月ジャニーズ関連のコンサート、舞台を見にいっていて、ジャニーズアンテナが敏感だったなあ、と思う1年だった。NEWS担だから、アイドル好きとして悲しいことも複数あった。

そして(テレビも雑誌も見ている稀な人々にしか伝わらないけど)タッキー引退スペシャルみがすごい今年の年末、リアルタイムで見たこともない「8時だJ」の同窓会スペシャルを見ながら書いています。最後の滝翼の歌のバックのスノストトラジャ*1を初見でわかったのでジャニオタ活動見習い進捗してると言えるでしょう、おそらく。

この90年代後半から2000年代のジャニーズのビジネスモデルはテレビで茶の間ファンを作り、舞台やコンサートに誘う。番組でもリアルでもジュニアや後輩を滑りこませることでファンをどんどん新規の人材につけていく形だったんだなあ。
世帯視聴率の時代にとても合ったビジネスモデル。*2

 昨年から今年にかけて、見ている人を自動的に追跡したり、レコーダーの再生数も上乗せする新しい指標が導入がされていて、さらにネット広告とテレビとリアルを追跡していく仕組みがどんどん進歩している。*3来年はウェブ広告に出ている人の方が芸能人パワーとして数えられる年になるのだろう。

ウェブ広告といえば、今年ジャニーズの書影(雑誌や本の表紙画像)、広告ビジュアルのネット解禁緩和、発表取材の取材カメラ画像解禁、LINEライブ、Youtubeチャンネルの開設、など大きなターニングポイントとなったんじゃなイカ

King&Princeがデビューして、シングル売り上げは今年のジャニーズの中で突出した数字を記録した。ジュニアとしてかなりの人気を築いた上でのデビューだったけれど、ユニバーサルとの協業レーベルからデビューしたことでジャニーズのメジャーレーベル包囲網は着々と牙城を固めている感じがする。来年からは必要ないかもしれないけど。*4

ジャニーズ事務所タレント所属レーベル一覧

ジャニーズ事務所タレント所属レーベル一覧

キンプリの下の世代の筆頭のSixTONESストーンズ)はYoutubeチャンネル開設、チャンネル連動広告、新曲のMVのYoutube投下、YouTubeFanFest出演ともうこれは来年サブスクデビューでしょう!とCD文化の終焉を予告されている感じがする。YouTubeMusicの日本での有料課金はこれから始まるから。バンドでZeppDiversity単独公演までやったジャニーズジュニアのグループ、Love-tuneジャニーズ事務所退所をきっちり報告したのも記憶にあたらしい。

来年問題になるのはクラスタ毎の発言力による視聴熱の偏りと"公共の電波"の関係とかかなあ。

ビルボードのチャートはすでにTwitterでの発言数やタイミングなどを織り込んでいるけれど、計測のしにくいInstagramや他のSNSが流行ってきた時にどこを「普通の人」としてとして切りとるのか、一般人の流す裏付けのない情報が束になってフェイクニュース化するような状態をどうとるのか。

オリコンチャート

 

ビルボードジャパンチャート

ビルボードジャパン 2018年 年間ランキング発表~【HOT 100】は米津玄師「Lemon」、【Hot Albums】は安室奈美恵『Finally』が首位 | Special | Billboard JAPAN


っていうのは本当に今年、NEWS担としては考えさせられたなあ。
「〜だと言われています」とか「〜とファンの間で言われています」系の記事でページビューを集めて売りさばく駄サイトには本当に死んで欲しい・・・とか思いつつ「小山 降板」でTwitter検索する日々。いかにアフィリエイトサイトを避けて、中身がなくてもせめて関係者取材くらいしてそうなメディアを探すことに費やす時間は無駄無駄無駄無駄無駄・・・

はー。見られた数がそのままあのフェイクニュースよりもフェイクだろうという広告の出稿料に形を変えて背骨の通らぬ誰かの収入になっているのは悔しい。そういえばNEWSの情報アカウント(Twitter)が突然名前と発信内容が変わって、これは販売されたな!ということもあったな・・・。

無条件に数字を集めるアイドル*5は、その影響力から取り扱い注意だな、と思ったのは小山慶一郎降板にも思うところだった。
これに対してはTwitterでも書いた通り。

櫻井翔さんについては過去にブログでも書いた通り。

 

carakarax.hatenablog.com

 

しかし、有働さんに変わっても成り立つのだろうか、この論理立ては。

生放送のジャニーズ登場リストを作って見たけど、誰の需要に応えているのかわからない。(間違いご指摘お願いします・・・かけてる気もする)

f:id:carakarax:20181230004317p:plain

ジャニーズ事務所タレント生放送一覧

とにかくSMAP以降、司会・バラエティ進出の後に、報道・ワイドショーに来たジャニーズタレントにとって新たな拡散市場にしようとした"報道"は今年で失ったのでは。

滝沢さんが新しくジュニアの育成をするという話は一周回ってLDHのスクール*6がジャニーズにも!(おそらく無料のままだけど)と思ったけれど、現場というアイドルの本分に戻っていくのかな。

来年からはテレビもネットもほどほどに、現場を中心に楽しんでいきたい*7と思います。( 今週のお題「2019年の抱負」)
2018年お疲れ様でした。
また、来年。*8

*1:SixTONES,SNOWMAN,TravisJapan

*2:視聴率だけの記事はもう終わりにしよう~「今日から俺は」「リーガルV」に見るドラマの価値~https://news.yahoo.co.jp/byline/sakaiosamu/20181228-00109210/

*3:電通 https://markezine.jp/article/detail/28332 サイバーエージェント https://markezine.jp/article/detail/28413 など

*4:一般社団法人日本レコード協会 会員社一覧 https://www.riaj.or.jp/about/member.html

*5:https://matome.naver.jp/odai/2142107137995790901

*6:https://www.ldh.co.jp/school/

*7:そういえば滝沢歌舞伎、見納められたの大変ラッキーでした

*8:年末年始は京セラです

視聴者に高度なメディアリテラシーを要求する櫻井翔"キャスター"ー日経エンタテインメント2016年11月号櫻井翔インタビュー感想

今年も!2016年11月号の日経エンターテインメントのインタビュー、面白かったですね!

翔潤の話とか、言及したいことはいっぱいありますが、引き続きこの「ジャニーズ事務所所属でジャーナリストになれるのか問題」について語りたいと思います。勝手にな。
前回はこちら。

carakarax.hatenablog.com

■アイドルは、アイドルという虚像を共有する世界観とセット

今年はじめ、SMAPの解散の噂が出たときにジャニオタの友人と激論を交わした。
私は彼女の「解散は許せない」という発言にまったく共感できなかった。彼女いわく、ここまで大きなグループになれたのは彼らが提供していくる高度なエンターテインメントはもとより、ファンが彼らを信じて育ててきた部分が多いのであるから、勝手にその共有財産をストップさせるのは許せない、と。
解散を許せないと言っている人は彼女のほかにもいて、わたしはこの2年どっぷり浸かってきたと思っていたジャニーズアイドルというものの楽しみ方というものをやはり完璧にはわからない派のひとなんだという認識を新たにした。
たとえば、私は人生の20年以上を捧げてきたバンドがあって(ツアーがあれば最初と最後と真ん中は絶対いくし、CDはもちろん全部買うし、300曲以上あるバンドの曲、全曲イントロドンができる)それががある日突然解散しますと言われても受け入れる派の人間だ。音楽活動はここの職業選択と同じく、公開するも非公開にするも当人の自由であると思うし、外部からどれだけ思い入れを入れてきたかは当人の活動には全く関係ないと思っているから。ジャニーズのアイドルでも同じだと、わたしは考えている。

ただ、友人とわたしに共通する認識はあるのです。
私たちは彼らに提供されたアイドルという虚像を増幅しあって楽しんでいるだけだ、ということ。

■テレビ制作の分業・共同作業という特性

*1
テレビ報道における「受け手が思う責任のありか」というのはとても特殊なのだと思う。テレビのニュース報道というのは基本的に映像を撮影する人と、編集する人と、ナレーション原稿を書く人とそれを読むひとは全部別だ。(同じところもある)
簡単にいうとテレビのストレートニュースのキャスターは基本的に読んでる記事の取材をしていないわけで、それが真実であるかどうかは知り得ない。しかし伝えているのは「キャスター」という人間であり、受けてはそのひとから伝えられたものだと認識し、キャスターに対する印象がそのまま信頼性に直結する。実際には、ニュースの信頼度はキャスターは関係ないにもかかわらず。

 

■テレビの報道が利用している「アイドル」とは何なのか

つまり、ニュースキャスターの顔というのは報道する側が選び取る「真実性を帯びさせるための仮面」だともいえる。
今回の日経エンターテインメントの構成で一番面白かったなあと思うのは、NEWS ZEROでメインキャスターを務める村尾信尚さんのインタビューでここの根幹に関わる発言をいれていたこと。
そもそも見出しにとられた発言がこれ。

「誰が言うか」という最大の役割を理解し、果たしている

つまり、櫻井翔が語ることでファンの注目により伝えられる範囲が広がる、身近に感じてもらえるという役割。自分の意見をいうことが重要なのではない。
そこは本人も認識していて、

「嵐だから言うべきでないこと」って恐らくあります。でもそれより、「嵐の自分が出ていることによって伝えられること」のほうが大きいから。
 (中略)
 そのあたりは正直、村尾さんをはじめ周りの人たちが気を回してくださっている部分もすごくあって。そのことを歯がゆいと感じないと言ったら嘘になります。「本当は別の言葉でこう言いたいなぁ」という瞬間も、多くはないけど確かにあります。
 (中略)
 「何が何でも自分の主義主張を言いたい」ってことはありませんけど(笑)、そこに意味があるならそうしていきたいですからね。

と、本文インタビューで語っている。

ふたたび村尾さんのインタビューに戻ると

伝える立場であると同時に、自身がニュースになる存在である櫻井の難しさについては、こう語る

 覚悟してやっていると思います。
 (中略)
 僕ね、嵐のコンサートを見たとき、何に驚いたかって、ファンの多さだったんですよ。ここにいる方たちが少しでも政治に目を向けてくれたら、世の中もっと動くだろうに、と。

 

  つまり基本的には保持するファン層と影響力を利用されているにすぎないということです。自明なことだけれど、改めて冷静に把握しておくべきところなんだ。(そしてこれを村尾さんに言わせた日経エンタに拍手〜。できればPの言葉も欲しい〜)

■アイドルの課外活動は虚像ありき

これらのことから分かるのは、彼は彼自身の意見ではなく、存在意義を使っているにすぎないということなんですよね。伝えられる範囲が広いことのメリットが、発言に制約があり報道としてはいまいちなことのデメリットを上回っている。
*2
翔さんはインタビューの中でこうも言っています。

外国の情勢とかを見ていると、人っていうのは思いのほか流されやすいのかな、と思います。だから日本で同じような大きなうねりが起きた時に、しっかりと個々が判断できるような材料ーーおそらくは”知識”が主になってくると思うんですけど、そういうものを持つようにしていないと怖いなぁと、改めて思います

そう、私たちファンに求められているのはしっかりとした見識に基づく冷静な判断だ。私たちは、アイドル界の外ではアイドル本人と作り上げてきた虚像そのものを疑って生きなければならない。当たり前の、メディアリテラシー。伝えている人が誰であっても自分できちんとひとつひとつ判断すること、その判断のための材料を日々集め、学習して咀嚼しておくこと。

ここからは妄想だけど、その「試している」感を作り手側はわかっている。櫻井さんだって分かっている。そしてそれを分かってくれるだろうとぬるっとファンを信じているはずなんだ。真面目に勉強し勤勉に残業規制もない中給料制で働き、自分の身辺に気を配り、礼儀正しく仕事相手と接する。そんなアイドルは、コンテキスト的な使い勝手の悪さよりよりも、KPIと成果物の作り込みやすさへのメリットを制作側はとってるはずなんだ...


大好きな人を盲目的に信じるのは虚像のお互いのお戯れ、虚像の外に出てきたアイドルと対峙するために、今日もファンは試されているのでしょう。
うーん。私入ってるFCは嵐とNEWSなんですよね...試されてる...今週は小山さんの米大統領選番組もあるしね...日テレさんに試されているぜ...


*3

 

*1:報道における新聞とか雑誌、つまり活字媒体というのは、記者なりライターなりがいて、それをコントロールするキャップがいて、デスクがいて、さらにチームをまとめる存在がいてさらに編集長がいる、みたいな構成なわけです。訂正する人はたくさんいるけど、表現は基本的に「テキストを最初に起こした人」に起因するし、最終制作物も本人が確認できる(ことが多い)。(新聞は、見出しをつける人が全く別だったりするのでそれはそれでそこに生じる意見の相違みたいなのはあるのかも)まあ、それでも制作ラインは1つで、誰から伝えられたか、という印象は書いたひと本人(またはその所属組織)に直結する。記事提供の多いネットメディアでここの前提がテキスト分野においても崩れているのはまた別の話と今回はさせてほしい

*2:あとリオでメイクなしのべったり髮で到着直後に中継出演した話の部分で「僕が女性だったらはなしは別でしょうけど、男だからね!」っていうのはPC的にNGだろう・・・がんばれー

*3:改めて書いてて思ったけど、ジャーナリストにはなれないけど、キャスターにならなれるってことなのかな。

SMAP解散中丸コメントを記録する

まず、SMAPファンの皆様にはなんというか言葉を失う思いでなんとも言えません。
年代的に、ジャニオタではない普通の友人たちも、青春はSMAPだったということで痛みを感じている人が多く、その影響力をひしひしと感じています。


とてもドライな言い方で、内情も知らないのに申し訳ないですが、個人的には解散できてよかったねとちょっと勝手に思ったりもしています。
ぶつかりながらグループを続けるのは、しかも自分たちの意思で作ったものでもないものを続けるのは、本当に辛いですよね。個人の自由を制限されながら。

 

で、だ。

 

生放送でコメントするジャニーズは誰か選手権が行われておりますが、ここで2016年8月14日に生放送レギュラー「シューイチ」で一発目だったKAT-TUN中丸さんのコメントを見てみたいと思います。もうね、私は完全に期待しておりました。

ちなみに前回のSMAP報道と、KAT-TUNのラジオからの私の中丸くんへの期待はこちらからどうぞ。

carakarax.hatenablog.com


リオで生放送やってる櫻井さんは絶対コメントしないだろうし。*1


シューイチでの中丸くんコメントを全文書き起こしてみましたのでその中ですごいと思ったところを抜き出しました。

①ジャニーズタレント勢がどうやって中身を知ったかというファクトを伝えた

中丸:噂も多くて、でまあとはいえ冷静に動向を注視してたんですけど。昨日の夜知ってほんと困惑してますね。でその記事を読むと休止している身として規模はまったく違いますけども、そういった気持ちでみるととてもこう泣けるなあと思いますね。

前回もそうでしたが、このように、自分がこの情報をどのように知ったかという事実を伝えてくれます。これは事務所の方針とか姿勢を知る上で重要なので、報道的に意味がある。

ジャニーズ事務所においてグループの動向とはどのように決定されるものなのか、経験を語った

中丸:まあそうですね。ほんとに経験上、わかんないです内容は知らないですけど、まあ決断に至るまで相当な話し合いを重ねたと思うんですよ。だからその決断というのは飲み込みづらいですけども、なにかこう尊重をもってこう決まった以上はソロ活動にみなさんがいい方向に進むように願うしかないと思いますね。

ひとりひとりの意見を述べる場があり、調整が行われるという事実。意思決定者の独断ではない、ということを明示。しかも「相当な」にかなり力を入れて「そうっとうな」になってた。

③事務所に残った意義、外に出た場合一緒に仕事をすることは難しい旨ほのめかす

中丸:(略)ひとつほっとしたのは事務所の移籍がなかったということです。自分と照らし合わせると、KAT-TUNはもう外に行ってるんで、今後その交わるということはとても難しいことだと思うんですけど。でもなんかそのひとつのコミュティというかひとつの繋がりがあるのは僕は個人的な意見ですけどよかったなと思っています。


もちろん、事務所の後輩は絶対みんな影響を受けているし、新しいアイドルの形を作ったグループとして尊敬している、悲しいというコメントもしています。
たぶん櫻井さんのコメントはここの部分だけになるんじゃないかな、と予想。
きちっとファクトをもって冷静にコメントをくれる中丸くんが好きです!

そういえば土曜夜に発表っても生放送の番組のタイミングを考えてもここしかない感じなのかな。

 

<ジャニーズ出演生放送一覧>*2
日曜 7:30-9:55 シューイチ 中丸雄一(KAT-TUN
   23:55-24:55 Going! Sports& News 亀梨和也KAT-TUN
月曜 5:50-8:00 ZIP! 山口達也TOKIO)月・水
   8:00-9:55 白熱ライブビビット 国分太一TOKIO)★
   8:15-9:54 あさイチ 井ノ原快彦(V6)★
   NEWS every.  小山慶一郎(NEWS)★
   NEWS ZERO 櫻井翔(嵐)
火曜 11:55-13:55 ヒルナンデス!有岡大貴・八乙女光(Hey!Say!JUMP)
木曜 11:55-13:55 ヒルナンデス! 横山裕関ジャニ∞中間淳太桐山照史ジャニーズWEST
   5:25-8:00 めざましテレビ 伊野尾慧(Hey!Say!JUMP)
金曜 白熱ライブビビット 加藤シゲアキ(NEWS)
土曜 8:00-9:25 サタデープラス 丸山隆平関ジャニ∞
   9:30-11:00 教えて!ニュースライブ 正義のミカタ(ジャニーズWEST
   20:05-20:55 らじらー!サタデー 伊野尾慧・八乙女光(Hey!Say!JUMP)
   21:05-21:55 らじらー!サタデー 安井謙太郎・高橋優斗(ジャニーズJr.)
   22:10-23:00 らじらー!サタデー SexyZone
★は平日帯枠

*1:プレスセンターのほかの報道記者に突撃してほしいくらいだよ。日本記者団に大変重い空気が漂ってるんだろうなあ...ほかの国の記者とか誰か突っ込んで報道してくれないか。

*2:抜け漏れあったら教えてください!

ジャニーズ野球大会に行って思い出した中丸くんすごいって話

ジャニーズ野球大会に行ってきた。
正式名称は「“東京ドームに全員集合”みんなにサンキュー!ジャニーズ野球大会」です。

ぬるっと当選して行ってきました。

16:30くらいに入ったらすでにwhiteチームが練習していた。バタバタしながら二宮さんが居ないことを確認してからぼーっと見る・・・席は外野の下手(下手っていうの?)の前のほうではあるが、なんせジャニオタ1年目のわたくしには全く誰がだれだかよく分からない。防振双眼鏡で12倍だけどわかんない。大変申し訳ないけれどわかんない。

 

試合開始前で目的を達成してしまった

whiteの練習が終わって、Redのお時間である。あああああー、二宮さん・・・二宮さんだあああ。実在するよう、二宮さん・・・。あ、モニタに二宮さんが映ると歓声がやっぱり違いますね。すごいな。

両手でバッドを持って頭の上からそのまま、背中にまわして下まで下ろす二宮さん。柔らかいっすね。あああ、ファーストにいくの?ファーストを守るんだね?後ろの野球に詳しそうなおねーさんの叫びで理解したよありがとう。なるほど。

キャッチボールしたり。ストレッチしたり。ああ、やっぱりちんまりしてるなあ二宮さん・・・。あああ帽子とったとったよ!さら髪きたあ!あ、正面見えた!きゃー。
・・・ということでいろいろ省略しましたがこれで私の目的はこれで達成されました。ずっと二宮さん見てたので全体の状態はよくわかっていない。

恐ろしいことに、目的達成後も、楽しかったのだ!

 

これはファンミーティングなんですね

試合の様子はより詳細なレポートへと場を譲るとして。
全体的にこれはファンミなんだなあと理解した。うん。ぐだぐだ。でもそれが楽しい。
*1*2*3*4*5

 

わたしの楽しさの半分以上は解説者・中丸くんが作ってくれた

正直、ジャニーズ初心者かつ野球のわからないわたしに、このイベントが楽しいのかどうかとても心配だった。16時の練習から21時半(実際には20時半前に終わった)の約4時間超を1人で過ごせるのかどうか不安だった。座席でビールも飲めないし。
でも蓋をあけてみれば、すんごい楽しかったのだ!
自分が二宮さんファンであり、守備もバッティングもピッチングも活躍する立場にあったからというのも大きいが、何よりも、先述の「知らない」を中丸くんが解説で埋めてくれたから楽しかったのだ。*6
知らないあの子のエピソード、解説者の手元の野球歴から無駄に無理やり広げるエピソード、選手を煽って無視されてもめげずに空気も白くならない不思議なテクニック。中丸くんはそのよく通る声で明確に私を楽しませてくれた。

 

勝手に中丸くんの印象を語ります

ここで。

KAT-TUNのことは本当に何もしらないのだけど、まことに勝手ながら、ここのところずっと感じていた中丸くんへの期待感を、本当に失礼ながら文章化させていただきたく存じる。素人の戯言ということで許されたい。

 

 

 

中丸くんのすごいところはバランス感覚だと思う。
なんのバランス?

世間とファンと自分と世界のバランス感。

世間とファンと自分のバランス感がいいジャニーズはほかにもたくさんいる。櫻井翔さんなんかはその典型だと思う。井ノ原さんもそれを武器にお仕事をしている人だろう。いっぽう「世界」とのバランスとは何かというと、これはもっと冷静に引いて論理・原則で冷徹な目で状況を見たことを発言できるか、ということである。
これを一番中丸くんに感じたのは実はSMAP騒動のときだった。
彼はシューイチでのコメント時自分も中の人の立場でありながら、報道で騒動を知ったと、スポーツ紙をあさいちで買いに行ったと発言してくれた。自分がどう思ったか、というコメントのみを残すジャニーズタレントが多かった中、この発言はとても貴重だった。
何が貴重だったのか?
タレントがどう思ったかは、ファンやワイドショー的には重要かもしれない。だが、事態そのものが事件であったり、世間に影響があるとすれば重要なのは誰がどう思ったかではなく、事実が何なのか、である。日本経済において大きな影響力を持つ会社組織の問題であり、経営課題だとすれば、こういった不祥事がどうほかの社員や関係者に伝わっているのか。その体制はどうなっているのか、そっちのほうが社会にとっては重要だったのではないか。

中丸くんは新たな「ファクト」を発言してくれた。

自分の持てる情報をどこまで発信できるか。ギリギリなことをやってくれたと思う。すばらしい。
ほかにもラジオ内でデジタル放送について「もっと可能性があると思うんだよな」と本気で検討したそうなことを発言したりしていて、「中の人」を超えた世界を見る目を持っていて、思わずそれを語っちゃうところに惚れていたのだ。

意識的にか、無意識にかは不明だし、アイドルとしては危ういのかもしれない。
だが、そのきちんと自分の中に真理を判断する基準を持っている感じ、論理的な思考回路の存在は、言葉で生きて行く可能性を中丸くんに感じる。

で、今日だ。
ファンだっていろんなグループのファンがいて、全員を把握しているわけではない。実況陣だってがちの野球勢だ。後輩先輩のエピソードを織り交ぜ、野球実況としてアナウンサーに解説してもらうところはやり、バラエティ的に盛り上げるべきところは盛り上げ、切るところは切る。すばらしい采配。途中から井ノ原くんが加わったことでいじりの幅が増してがっつり安定感であった。

うーん。すごい。誰か中丸くんにラジオ番組もたせて!かつんのがつんが終わっちゃって悲しいよ私は・・・。NEWSの加藤シゲアキ氏とばちばちのサブカル社会派ラジオやってくれてもいいんだよ・・・わたしが今判断できる中丸くんのすごいは私のフィールドの話だけど、たぶんアイドルとしてもすごいんだと思うんだよ、という期待感。

ということで中丸くんの卒論はどこかで読めないのだろうか?
GWのKAT-TUNの東京ドームのチケットどこかに落ちてないだろうか?

*1:1イニングが終わるごとに、ジュニアたちが出てきてなんがしか歌ってくれる。正直NEWSの「希望〜Yell〜」しかわからなかったけど、なんかよくわかんないけど楽しいよ。たぶん野球だけではここまで楽しくない。

*2:参加者、名前のある人以外にも「ほか」とは確かに書いてあったけど、ここまでいろんな人が出てくるとは思わなかった。最初のメンバー紹介でチャンカパーナのイントロがかかってまっすーが出てきたときには叫んだね。この集団の中にいると異様に見えちゃうがたいのよさ。素敵!しかも1人で1打席できっちり仕事して帰った!素敵!

*3:ていうか、ペンライト持って行ったほうがいいなんて知らなかった!持っていけばよかった!

*4:ところで岩橋くんは落ち込んで泣いてたりしないだろうか、心配である。とか書いちゃうくらいにはかわいかったよ、岩橋くん

*5:しかしキャップかぶってると本当に誰がだれだかわかんなくなるね。この1年でけっこう覚えたつもりだったんだけどなあ...

*6:そもそも二宮さんに関しては先の述べたように練習時間ですでに目的を達成している。これもこれでどうかと思うのだが。いやアイドルに対するコンテンツ消費としては正しいのか?自問自答する日々である

はじめてのジャニーズワールド

「JOHNNYS' World」に行ってきた。

もうすでに見てから3日が経っているのだが、その衝撃を因数分解できないままでいる。いや、要素はわかっているのだ。しかし式として組み上げられない。
終演後にジャニー喜多川氏が居たので駆け寄って「ありがとう!ジャニーズ事務所続けてくれてありがとう!」と言いたい気分にはなったのだが。(もちろん、駆け寄ってない)

なのでメモしておきたい。

◇初体験は突然に

Jr.の舞台というのは気になっていた。

たまたまだ譲りますが目に入ったので、ささっと連絡して、譲っていただくことに。
手渡しでいただいて、「初めてなんですよ〜」と悪びれもなくいうわたしに、えっという顔をしながら「Jr.詳しいですか?え、知らない?じゃあパンフレット先に読んだほうがいいですよ」とおすすめしてくださったニノ担さん、本当にありがとうございました。


さて。
チケットはいただいた。
パンフレットも手元に。
しかし、懸念がある。
私には実は前科があった。2010年のPLAY ZONEを見に行って寝倒したという前科が。

どういうことかというと、当時は嵐の名前も全員言えないくらい、テレビも見ないしジャニーズも知らなかった。小劇団にはまっていた私は贔屓の劇作家がPLAYZONEの構成を担当するということで、知り合いのジャニオタさんに骨を折ってもらいなんとか1枚入手し、見に行ったのだ。NO予習で。だって演劇だったらどれだけ初見の人引き込むかとかも計算ポイントじゃん?...プレゾン、ジャニーズの知識がない人はまったく対象じゃなかったー、ですよねー、はいー、本当にごめんなさいごめんなさい...一般に出回らないチケを無理やり手にしちゃったのはこちらでしたほんとすみません。

ということで、今回事前に一応レポ等を漁って私が急ごしらえで得た知識はこちら。

 

ジャニーズワールドとは・・・

  • 「3つのGuiness World Recodsに輝く、ジャニー喜多川氏によるエンタテイメントの集大成!」ということでジャニーさん肝いりの舞台らしい
  • 内博貴が”プロデユーサー”らしい(←役なのかほんとになんかプロデユースしてんのかよくわかってない)
  • Jr.がいっぱいでるらしい
  • A.B.C-Zがでるらしい(←塚ちゃんだけは顔と声と名前が一致している)
  • 戦争を表現する場面があるらしい
  • ジャニーズの歴史を振り返るらしい
  • 13月があるらしい(←まったくよくわかっていない)
  • リピーターがほとんどらしい(レポを漁ってもストーリがよく分からないままディテール知識ばかり積み込まれる)(←ということはアドリブ要素や演出の同時多発さがいろいろあるんだろうな、くらいの想像力)

結局、パンフレットは読んでも目が文字をすべってストーリーがわからなかったし、Jrの顔と名前も一致しなかったので、そこは諦めることにした。
まあ、なんとかなるだろう、寝ないようにだけがんばろう!
都合上、開演10分前に滑り込み、座席へ。

◇で、見た


なんだこの圧倒的なコンテンツは。


ミュージカルにしては音量がでかくて中高音バリバリで、舞台見に来て耳栓もってくればよかったと思うとは思わなかったよ。
それも含めてとにかく圧倒される。

続々と繰り出される色の数々、宙を舞う皆様。しかもエアリアルティシューにドラムラインに仮面にダブルダッチにローラースケートにバトントワリングにバスケのシュートに桜が舞い散って。えあああ?

とりあえず何が先かは分からないけど、昨年見た嵐のツアーは桜吹雪も、エアリアルティシュー(相葉ソロ)もドラムライン(櫻井ソロ)もタップ(二宮ソロ)もマスクマジック(大野ソロ)もジャニーズ舞台の歴史上に配置られるものなんだということはよくわかった。

 

◇ものすごい数の伝えたいこととやりたいことをごった煮に実現させてる

お伝えいただいた私も時系列や要素の関連性を提示して書けないのでとりあえず、この舞台から受け取ったものを列挙したい。

・戦争NG、エンターテインメントが成立する平和な世の中を目指したい
・若者は前のめりに未来に期待するべき
・個性を育成する
・Jrを舞台に上げ続けることで育成+ファンの育成をしたい
プロジェクションマッピングはじめ装置の使い方を試行錯誤したい(日本に最先端のものを導入する場を持ち続けたい)
・ジャニーさんの中では五輪が日本の転換点

思い込みかもしれないけれど、このようなものを感じました。

◇ジャニーズの群舞、群舞じゃない問題への回答

こんなこと言ったら怒られるのかもしれないが、幼少期に歌番組でジャニーズを観て「なんなのこいつら?」と思った最大の理由に「バックダンサーがバラバラ」であるということがある。もともと、ロシア系のクラシックバレエで育ったので、群舞というのは身長から足の太さまで揃えてかっちり踊るのがベストだと思っていたのだ。

ダブルダッチや、バスケの連続シュートなどは失敗の可能性ゆえに何回見ても飽きさせない、生の感情を見せる作用があると思うし、グループ毎の演出やそれぞれに課せられたダンスは、個性を引き出すものであると改めて思った。

個性を消して全員でびしっと合わせることを求められていない。それは歌番組からコンサートまでどれを観ても、ジャニーズのひとたちから感じることだ。ジャニーズワールドを観て、改めてそういう育成方針なんだな、と感じた。
その方針をもって、これだけの人数にそれだけの見せ場を用意するのだ。その畳み掛けるコンテンツ量にそりゃ見てるほうも圧倒されざるおえない。

◇強い反戦メッセージ

かなり長い尺を使って、空襲の恐怖、原爆の話、日本兵が殺されるシーンなど、具体的に人を殺す戦争のむごさを語ってくる。1つ1つには時間をかけないので、両者の悲哀、なんてもので語るわけでもなく、ただただた人が殺されていったという事実が迫ってくる。近年、こんなにストレートに戦争は勝とうが負けようが人殺しなんだからやっぱりだめなんだよ、という表現物をほかに観たことがない。
殺すシーンが演じられるのは、何か、どちらかというと植民地化されていた国での歴史博物館で日本兵の悪行を淡々と語った蝋人形を思い出した。同時に米国で日系人として育ち、和歌山で実際に空襲に遭い、戦後はGHQで通訳をしていたというジャニーさんの生い立ちを思い出した。

舞台の冒頭に語られる「SHOW MUST GO ON」のセリフ、それはここにつながり、舞台のできる平和な世の中を望む、となる。メタが何重なんだか、シーン毎にわけがわからなくなるけどいいたいことはストレートに伝わってくる。

 

◇平和の祭典としての五輪PR

びっくり。前回東京五輪で国が成長した話はまあ歴史としていい。
でもなんでこのひとたち「また東京でオリンピックが行われます!」と希望を胸にみたいに明言しているのか。
言い切るA.B.C-Zの皆さんを目の前にしながら「・・・パートナー契約ってジャニーズ事務所ってなんか結んでるの?いやこれ舞台だから表現として五輪の文言使うことに制限ないのか・・・」などと混乱しておりました。

そんなことを勘ぐるまでもなく、五輪というSHOWそのものが開催できること、平和の祭典を実現すること自体が素敵なんだよっていう話だったのかな。

 

◇しっかり語られる「未来志向」

劇中で、若者には未来を信じてほしいという趣旨のセリフがあった。これがはっきりと語られることがこの舞台のメッセージなのではないかと思える。
実は、嵐を好きになって(約1年という短い期間ですが)1つずっと気になっていることがあって、それは彼らが「未来の可能性を信じて努力する」ことや「目標を持って達成していくこと」を正として明言しないことにあった。今年も相葉さんの目標は「現状維持」。トップアイドルが若者だけのものではない現在、30代の中堅(働き始めた年を考えれば一般会社員としては40代の若手部長クラスである)として働く彼らが、「ただ前を向け、未来を信じて努力しろ」なんて言わないことは正しいのかもしれない。しかし、若者をひっぱっていく、夢を見させる存在としてはどうなんだろう?と疑問だったのだ。
この舞台ではそれがはっきりと言葉になっている。勝手にほっとした。

 


固いこといっぱい書きましたが、しかし、はあ。最後に脇の通路を駆け抜けていった佐藤勝利のキラキラした顔が忘れられません。ポスターと全然顔違うけど、何がどうした?

 

ところで見終わった今もストーリーを把握してない。
なんで宇宙にいったの?
どこまでが劇中劇なの?戦争とタイタニックと飛行船は劇の題材だったの?
プロデューサーと中島健人佐藤勝利の関係はなんなんの?なんで喧嘩してんの?
13月はなんだったの?
どうしてスリーピースバンド+キーボード+トランペット+バイオリンなの?TpとKeyとVの人はジャニーズの人なの?違うの?
誰かパキスタン出身の人がいたの?

・・・どこかで機会を見つけてもう一度観てみたいと思います。

トップアイドルのCSRー日経エンタテインメント2015年7月号櫻井翔インタビュー感想ー

ここに2015年上半期のCD/DVD売り上げランキングがある。

上半期シングルヒットチャート
1位 嵐 Sakura 572,654
2位 嵐 青空の下、キミのとなり 518,817
3位 AKB48 希望的リフレイン 287,029

日経エンタテインメント2015年7月号掲載、サウンドスキャン(2014年11月14日〜2015年5月17日)のデータ

 

3位に圧倒的な差をつけての嵐の圧勝。


突然だが、2014年のコンサートツアーの友人のチケット倍率をもとに筆者が推計した2015年春時点での嵐のファンクラブのアクティブアカウント数*1は110万人程度である。

110万アカウント×年会費4000円=44億円

これが嵐の”ベーシックインカム”であるといえるだろう。
この金額が全て音楽制作に向かうわけではないが、CDの販売数を考えても、今の日本で彼らほど潤沢なお金を持って楽曲制作に挑めるアーティストはいないのではないだろうか。
パーソナルコンピューターと各種デジタルツールの発展、フィジカルのCDの売り上げ減少によって音楽はよりミニマムな制作環境を指向する時代に入った。BOØWYTHE BLUE HEARTSJUDY AND MARYなど、数多くのヒットアーティストを手がけてきた音楽プロデユーサー佐久間正英氏が自身の日記のなかで言っている。


どんな形であれ音楽制作には経費が派生する。その経費は”音の作り方・クオリティそのもの”に正比例する。
(2012年6月16日「音楽家が音楽を諦める時」(http://masahidesakuma.net/2012/06/post-5.html)より)

 

具体的な費用感でいうと

 

例えば10年ほど前まで一枚のアルバムを作るには1200~1500万の予算がかかった。今の世代の方からは「バブル!」と一蹴されるかも知れないがそれは違う。
ちゃんと真面目に音楽を作るにはそういう金額がかかるのだ。僕らのギャラが高かった訳でもスタジオが法外に利益をむさぼった訳でも無駄な時間をかけた訳でもない。録音作品を真面目に作るとはそういう事なのだ。
(中略)
この予算が抑えられると言うことは何かを削る事にしかならない。そしてその”何か”とは無駄を押さえることギャラやスタジオ代の交渉に留まらず、残念ながら『音楽の質』を落とすことになる。

 

詳しくは元の記事を参照してほしいが、1万枚も売れないようなアーティストがメジャーにもごろごろしている今日では、音楽を通じてお金をかせぐ筆頭となってしまったアイドルが、日本のなかでもっとも音楽制作にお金を使える存在となってしまった。

ここに、「嵐」にはトップを走るアーティストの責任として、最大限の質を持った制作をすることが求められているのではないか。

 

櫻井翔の「CSR」発言の凄味

嵐、トップアイドルの責任感、という観点からいうと日経エンターテインメント2015年7月号のインタビューで彼は下記の発言をした。

 

個人的にはキャスターをやらせていただくようになってから、CSR(=企業の社会的責任)みたいなことをよく考えるんです。どう社会貢献できるかを。
(中略)
ただ、グループと僕の意思が両立できるのなら、やっぱりそれは積極的に形にしていきたくて。

 

前述のように、彼らには大きな市場(ファン)がいる。一挙手一投足を凝視するファンが。
これだけのマスの影響力を持つ存在は、ほかに、今の日本にはあまり見当たらない。このことをもって「責任がある」と自ら語れる彼は、覚悟と頭脳のひとなんだなと、改めてその凄みを感じるのだ。

 

◆兼業アイドルとして果たしてきた役割と報道キャスターとしての危うさ

このインタビューの中でもうひとつ特徴的だと思ったのは下記のという発言。

キャスターをもう9年ほどやらせてもらってて、来たるべき40代を見据えたときに自分は、ジェネラルなお話はできるけど、"刀"を持ってないな、と思って。


確かに、ニュースZEROを見ていて思うのは、「庶民感覚」に寄り添いすぎなのではないか、ということだ。
何かをかみくだいて説明する、伝える。多大なる影響力と親しみやすさを持つアイドル櫻井翔ならではの役割ではある。

が、報道というのはより世界をよくする方向へとひとを導くために世界の情勢をひとに伝えることであると私は思う。

 

1つとても気になっていることがある。
それはアイドルという立場を崩さないまま報道の現場に彼がいるということに対してだ。
アイドルであるがゆえに(まあおもにバラエティにおいてだが)「立場上発言できません」と言ってしまう場面が彼にはある。あたりまえでしょ?別に報道の枠でその規制されてるわけじゃないんだから関係なくない?と思う向きも多いだろう。報道記者のほとんどが新聞社やテレビ局のサラリーマンで占められる日本において、アイドルとしての制約なんてそれをほとんど一緒なのではないかと思われる向きも多いだろう。しかし、ある程度こうして明言された「NG」を持つ彼と建前上の「NGなし」を持つ企業記者では伝える正義としての「報道」の性質は違ってくる。*2

 

続けること、実績を積み重ねて作る信頼感でしか、乗り越えられない課題のように思う。
自身がいうように、現状では「親しみやすい解説員」の役割が大きい櫻井翔のニュース番組での姿。
どうやって変えていくのだろう?とても興味がある。*3

 

ジャニーズアイドルが続けることによって実現すること、新規市場内で存在感をあげていくことについては加藤シゲアキを通じても語った。彼らの努力と才能に敬意を払いながら、生み出されるコンテンツを最大限に楽しんでいきたい。

 

 

*1:その時点で実際に有効な会員権の数

*2:さらにいえばせっかく新聞・テレビも枠組みとは別の場所に(建前上)いるのだから、局や社を跨いで報道面でも活躍してほしい。

*3:インタビュー内で自身が選んだといっていたテーマのひとつ、戦争を伝えるということ。今夏の日テレでの戦争特集をとても楽しみにしている。

青春と東京とわたしたちの人生の曖昧さ、そしてジャニーズという育成システム(「傘を持たない蟻たちは」「Burn」「ピンクとグレー」感想)

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語りたい。

と、思わせてしまう成長物語だと思った。誰の?小説家加藤シゲアキの。

またしてもマイナスな感じから入るので、ネガティブNGな方はすっとばしてほしいが...書く。

2015年冬、ジャニーズにはまってすぐに都内の本屋をまわってまわって探した加藤の処女作「ピンクとグレー」。サブカルの街の本屋にはまったく存在せず、某チェーン店の本店で入手した。30万部も売った本なのに、店頭在庫のなさに「ま、ジャニーズだからね」と思っていた。*1
そんなミーハー心と斜めになった視線で読んだ「ピンクとグレー」の感想。

1作目の「ピンクとグレー」はすごく読みにくかったので投げ出した。内容関係なく、私には厳しかった。地の文の説明が多くて、「もっとことばの表現力をつかってくれ!」と叫びたくなるような黒さのページで、行動から情景から細かく細かく説明するのだ。それは最近のラノベの表現に似てる気がして、これはラノベなんだこれは同人誌なんだと言い聞かせて読み切ろうとしたけど、やっぱり無理だった。

そしてなんとなく再チャレンジ!と思って発売日に購入した2015年加藤の最新作にして4冊目の著作「傘をもたない蟻たちは」に対し、下記の感想を持った。*2

 基本的に恋愛小説と、SFが収められた短編集である。掲載誌は「小説 野生時代」と「週刊SPA!」、「ダ・ヴィンチ」、「シュシュアリス」である。
 ばらっばらの読者層。
 いくつかの書評でも書かれていたけれど、加藤シゲアキ初の短編集はこの読者層に合わせて書かれている。

 読んだ中で好みだったのはドロドロの「Undress」社会人の恋愛の話、すごく引き込まれた。オチに向かう部分の拙速さは若干否めないものの、前半のダメ人間の多重攻撃は娯楽小説として小気味よかった。著者が下世話な会社組織の話をここまで書き込めるなんて失礼ながら思ってなかった。

 文芸作品として好きなのは今作唯一の書き下ろしにしてラストを飾る「にべもなく、よるべくもなく」。千葉の港町を舞台に青春の痛さを、書いている。ちょっと漫画的表現でパターンだなあと思うところはなきしもあらずだが、街の名物じじいの扱いの話や、田舎町で突然親友にゲイを告白されて困惑するシーンなど、子供から大人になっていく過程で誰しもがどこかで受け入れていかなければならない社会のかたちを、胸に迫る表現で的確に描いている。
それに加えてとても素敵だったのは、ラストに描かれる東京の街並みだった。田舎から東京にもつ憧れ感をきちんと描いた表現に久しぶりに出会った。

 美大生の恋を描いた「染色」は文章の醸し出す質感が、東京の薄暗いアパートの空気感で、なつかしくもあり、映画的でもあり、美しいと感じた。SF作品である「イガヌの雨」はグロさが、ミニシアターでみる映画みたいで面白かった。もともとSFは苦手なので、詳細に評価できないのが悔しい。

 

ふつーの文芸書の感想である。これをもって、さらに今、「Burn.-バーン-」を読んで、感動している。
感想を書くと以下だ。


 この小説は、結末がない。登場人物にも、明確な言葉を吐いていかない。何か確定的な言葉をいう人たちが極端に少ない小説だと思った。
 しかし、舞台はクリアだ。
 現実に存在する宮下公園と現実に存在する立ち退き問題。ある時点を起点にして、未来も過去も語られる。
 この物語は、主人公の成長物語であるとともに、変化する人間の姿をゆったりと捉えた物語だ。決して著者は何かを決めつけない。ある種、世界の多様性やあるべき姿を達観しているようにさえ見える。確定的な言葉を持たないままに、主人公の作り出す世界観と、奇妙な登場人物たちによって世界のいちぶが切り取られた感覚。
 最後の数ミリの厚さのページに詰め込まれた、伏線の回収が読後感のよさに拍車をかけている。

 「Burn.-バーン-」は素直に、面白かった。人生の中で3000冊を超える小説を読んできて(高校卒業まではだいたい数えていたので超えているの確実(笑))ある程度小説表現のお作法が身にしみてしまっている自分でも、面白いと思えた。ということは「ピンクとグレー」からすると技術的な部分においてかなりのジャンプアップをしているのではないだろうか。

 

 先日のNEWS ZEROでの加藤のインタビュー(山ノ上ホテルでやっていた!よっ、文豪!)によると、グループ・事務所の中で誰にも負けない分野を持ちたい、それは小説なのではないか?と彼が小説を書こうと思い立ち、書きたい、と自ら事務所に訴えた加藤。すると1ヶ月で書いてみろと言われたんだそうだ。それが処女作「ピンクとグレー」。また、同インタビューによると彼はそれまでそこまで人生のなかで小説を読んできた人でもなかったらしい。であれば、たしかに1作目を描き切ったこと自体が努力と才能の証左であったのだろう。

 このはなしで思うのは、やはりジャニーズ事務所の育てかたのうまさだ。中途半端ことはやらせない、きちんとやりきり、継続できるものにはチャンスを与える。
ジャニーズタレントが新たな分野に手を出すというのはどういうことか。それはつまり、とても冷たい言い方をするのであれば、商業的には大きなファンの購買数という確たる市場をもって、ボーナスステージから始める(ように見える)ということである。発売した暁には昨今のコンテンツ産業では採算ラインを上回ることが約束されている。よっぽどコストをかけない限り。
 本人にとっては、その市場が反応しなかった場合を想定してきついプレッシャーだろうが、その緊張感をもってしても乗り切り、継続できる素質のある者にのみチャンスを与えているように見える。その選び方の妙がジャニーズの育成システムたらしめているのだろうと思ってしまう。

 ちなみに同じくジャニーズ事務所でアイドル外活動として自身の立体や絵画を公開している大野智加藤シゲアキで異なる点は、大野はアートとしての評価も何もいらないと言っているのに対して、加藤は賞がほしい、と言っている点である。大野の作品が衝動から生まれたものであるが、加藤の小説は武器として生まれたもの、という違い。

 

 2015年7月30日にテレビ番組で大野智櫻井翔(ニュースキャスター)、加藤シゲアキ、の鼎談が放送される。こちらでこのあたりについて語られることを期待し、「閃光スクランブル」を読む前にこの感想をアップします!楽しみだな「閃光スクランブル」!*3

 

関連リンク
トップアイドルの執念ーアウトサイダーアートとしての大野作品(FREESTYLE上海感想)
http://carakarax.hatenablog.com/entry/2015/07/28/033915

*1:初速でぶっちぎって購買層を食い荒らした後にはまったく売れない、というパターンなのではと思っていた

*2:ところで、「傘をもたない〜」は初期プロモーションで「性描写」を売りにしてたみたいだけど、それはやっぱりジャニーズとのギャップという意味で面白いから?そんなもの言わなくても、十二分に面白いと思う。というか、あんまり性描写性描写いうから、ものすごいエロい短編でも入ってるのかと思ったらまったくだったので、言い過ぎです(笑)

*3:加藤シゲアキさんは大の映画好きとしても知られる。よって私は次回作以降、いびつでえぐめでただ美しくて無意味な恋愛物を所望したい!ぜひ、そういうのいっぱい書いて!東京の空気感を生かしたミニシアターっぽいけだるい作品とか。東京をもっと描いてほしい